富良野事件簿

富良野のイメージ写真

こんにちは、増田です。

田中邦衛さんとの思い出に、とても多くの反響をいただきました。邦さんが、本当にたくさんの方々に愛されていたことが実感でき、胸が熱くなりました。当時を色々思い出していたら、ある事に気づきました──「大切な事実が抜けている」と。。。。そうなんです!あれを言うのを忘れていました!あのエピソードには、続きというか、序章があるんです。

僕は、北の国からが大好きで北海道行きを決め、札幌にある大学に進学しました。憧れの富良野でアルバイトをするべく、富良野プリンスホテルにアルバイトの応募をしました。結果は、書類選考で「不合格」でした。僕は富良野でアルバイトをするイメトレを、何万回もしていたので、不合格が納得出来ませんでした。「面接もしないで不合格なんて。。。きっと僕を見てもらえば分かる!」と本気で思い、直接乗り込むことにしました。『直談判』という手段を取ったのです。フロントで、「アルバイトの面接に来ました」と軽い嘘をつき、事務所に通してもらいました。作戦第一弾、成功です。事務所の人事担当の永野さんが、不思議そうな顔で対応してくれました。

「アルバイトの書類選考で落ちた増田と申します」
「はぁ。。。」
「僕は北の国からが大好きで北海道に来ました、どうしても富良野で働きたいです!やる気はめちゃくちゃあります!」
「はぁ。。。」
「やる気は誰にも負けないので僕を雇うべきです!」「はぁ。。。」

僕は興奮して何度も立ち上がってしまい、その度に座るように促されました。。。

「ちょっと待ってなさい」

事務所の奥で偉い方々が、何やら話し始めました──「ダイヤモンドの原石みたいな、素晴らしい人材をようやく発掘したぞ、これで我が社も安泰だ」と話しているかと思ったら、「ヤバイ奴が来ちゃった、どうやって帰そうか」と話し合っていたそうです。「アルバイト寮がいっぱいだから、やはり採用は出来ません」と言われました。なるほどそうきたか。。。僕は最後の武器を抜きました──「もう札幌に帰る電車もバスもないんです、寝る所も倉庫でもどこでも構いません、やる気だけはあります!」──そして、またお偉い人の会議が始まり、「負けたよ、分かった、採用しよう、寮も一部屋空けられるそうだ。明日の朝8時に出勤してこい」「やったぁー」と事務所で大声で叫びました!

とんでもない奴が来たと、僕は事務所で一躍有名人になりました。全てを出し切り、採用を勝ち取った僕は、完全に有頂天になっていました。スキップしながら事務所を後にし、ウキウキでアルバイト寮に向かいました。この時はまだ、あんなことが起こるなんて知る由もなく。。。この時、おそらく僕の体の中で、アドレナリンが出まくっていたと思います。アドレナリンが出過ぎると、軽い睡眠障害が起こります。医学なので仕方ありません。アドレナリンが出過ぎた状態では、なかなか寝れないのです。人間とはそういうものです、多分。。。全く寝れなかったんです。。。朝方、ようやく寝付けたんだと思われます。人生初の富良野で、夢でも見ていたんだと思われます。。。部屋の電話が鳴っていて起きました。何事かと思い、電話に出ると、

「てめー何時だと思ってんだ!」

昨日、僕の採用を決めてくれて永野さんが、ブチ切れているではありませんか。。。時計を見ると、10時半を少し回っていました。。。いきなり2時間半の寝坊です。。。急いで向かい「申し訳ございませんでした」と謝ると、「早く働け〜」と胸ぐらを掴まれながら言われました。クビは免れました。。。そしてその噂は、瞬く間に事務所に広がりました。永野さんからは、「書類選考で落ちた奴が事務所に乗り込んで来て、やる気あるって散々言っときながら、初日から2時間半の寝坊、そんな奴、後にも先にもお前しかいない」と、毎日毎日言っていただきました。大学生活4年間、休みごとに富良野プリンスホテルで、アルバイトをさせていただきました。2回目からは書類選考も面接もなし、VIP待遇で雇っていただきました。永野さんには数えられない程、ご飯をご馳走になりました。ホテルの大浴場にも、特別に入ることを許可され、そこで田中邦衛さんとお会いすることができました。卒業する時に挨拶に行くと、「このホテル史上、お前が一番インパクトのあるアルバイトだった、お前がナンバー1でワースト1だ!」と、最高の賛辞を送っていただきました。。。

僕は若かりし頃(今も)、本当にはちゃめちゃで、たくさんの大人の方にご迷惑をかけていました。僕はこの話を、色々な場面で子どもたちに話します。「人生に失敗なんてない、転んだっていい、立ち上がることが大切なんだ」と、偉そうに話します、が、永野さんが聞いたら「お前が言うな」って怒るだろうなぁ。。。

前回のメールで、田中邦衛さんとの美談をお伝えしましたが、その前に、こんなすったもんだがありました。。。田中邦衛さんが亡くなられ、当時のことを思い出しました。どれも今となっては、大切な宝物です。生きるとは『恥ずかしいことである』と思う今日この頃です。

追伸

今週末お席空きがございます。ご来店お待ちしております^_^今月オススメコースは「こちら」!