十八番!

鴨肉のコンフィのイメージ写真

こんばんは、増田です。

昨日、鴨肉のコースをご案内させていただきました。今日は少しだけ、補足させてください。この鴨の料理は、僕が一番自信がある料理なんです。自分の料理を自分で美味しい、というのは変な話なんですが。。。この料理は、師匠に徹底的に鍛えられたからです。料理人になった当初、先輩たちが鴨を焼く姿がとてもかっこよく、味見させてもらうと、衝撃的に美味い!鴨そばしか食べたことがなかった僕にとって、フランス料理の凄さを実感した瞬間でした。「僕にも焼かせてください!」と、シェフに直談判しました。何も知らない、何も出来なかった当時は、怖いものなしだったので。。。今思うと、何て生意気なことを言ったんだと、思い出すだけで血の気が引きます。とても張り詰めた空気の職場だったので、僕は本当に異端児だったと思います。もちろんですが、何も出来ない僕に焼かせてもらえる筈がなく、ただただ指をくわえて見ているだけ…で我慢出来る性格ではありませんでした。

ある日、夜中にキッチンに忍び込みました。僕のお目当は《鴨》です。誰もいないキッチンで、誰にも文句を言われることなく、焼いてみました。食べてみると、全く美味しくなく、大失敗でした。次の朝、先輩が冷蔵庫をガサガサ。。。ブツブツ独り言。。。どうやら「鴨が一枚足らない」となっているらしい。。。昨日まであったのに。。。おかしい。。。と現場は騒然となってました。。。「あ、僕、一枚焼いて食べちゃいました!」──全員の視線がこちらに向き、「テメー」と胸ぐらを掴まれました。僕は初めて「在庫管理」という概念を知りました。。。発注担当の先輩は、物凄い剣幕でした。「増田、ちょっと来い」とシェフに事務所に呼ばれました。「絶対に殺される」──僕は恐怖に震えながら事務所に入ると、シェフから予想だにしない一言が。。。「美味しく焼けたか?」──絶対に殺されると思っていたのに、拍子抜けする一言でした。。。「それが全然美味しくなかったんです、パサパサで味も違いました!」──シェフは笑いながら「鴨は温度調整が大切なんだ、あとで一緒に焼いてみるか」──その日から、シェフから直接英才教育をして頂きました。「お前は日本トップレベルの英才教育を受けている、その自覚がないのが腹がたつ」と、先輩たちにからかわれていました。おかげで、すぐに上手く焼けるようになり、勝手に在庫を食い荒らすこともなくなりました。それ以来、鴨は僕のスペシャリテ、最も得意な料理となりました。

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